会長あいさつ

広土会会長  福原 輝幸


 

広土会会員の皆様,初めまして.十河前会長の後を受け新しく広土会会長を仰せつかりました福原輝幸です.私はカープの優勝に会わせたかのように昨年9月,母校広島工業大学工学部環境土木工学科に着任しました.私はカープが初優勝した年度(1975年)に卒業した7期生です.卒業後は土木工学科の創始者,櫻井季男教授の最後の助手として2年間,広島工業大学でお世話になりました.この度,実に39年ぶりの職場復帰となりました.未だ学科および学生の様子がよく分かっていないことおよび,最初は新会長が一体どんな人物かを皆様に知ってもらうことが良いと思い,本誌では自己紹介と広土会への想いを書かせてもらいます.私のキャリアーは櫻井先生との出会いから始まりました.最初の衝撃は2年生の時でした.櫻井先生から突然,「博士課程のある大学院に行きなさい」と言われました.当時,博士課程は旧帝大にしかなかったので,自分には論外として気にも留めませんでした.続く驚きは助手になった時でした.先生は「君のやるべき事は出席を取ることと,大学院の受験勉強だ.」と言われただけでした.これ以上ない大学院進学の環境を整えて頂いた櫻井先生の男気は,黒田博樹氏以上のビッグなものでした.もう一つの決定的な幸運は4年生の春に着任された中山先生との出会いでした.先生の公私に亘るご指導が母校復帰の契機になったと思います.さらに素晴らしい先輩との出会いもありました.当時の土木工学科には先輩の助手が数名おられ,研究室を訪れるとよく自身の将来や大学院進学の意義について熱く語って頂きました.先輩の助言も私の進学を後押ししました.大学院への初挑戦は助手1年目の9月でした.中山先生が大阪大学(阪大)出身だったことから阪大を受験しました.結果は悲惨なものでした.落ちたことよりも見たことない問題だらけで,広工大とは全く違う世界(大学)があることにショックを受けました.それから半年後に広島大学(広大)を受験しました.専門科目はバッチリできたので合格したと思ったのですが,あることで落とされました.予想外の結果に血の気が引いて目の前が真っ白になりました.次の年,阪大に再度,最後の挑戦をしました.1回目の受験後,何処から問題が出たかを調べ上げました.問題を見つけた時は一歩合格に近づいたと思い,嬉しかったです.もし阪大のラストチャンスを逃していたらどんな人生を歩んでいたのだろうか?今でも想像します.もし広大に合格していたら,そこで満足して博士の学位取得はなかったかもしれません.私が助手の2年間で学んだことは,“失敗は次の成功へのステップ”と“試験は人生を変える”でした.以来,”自分次第で自分の人生は変られる!“と学生に説いています. 阪大では恩師,室田明先生の門下生になれたことが今でも最高の誇りです.室田先生からは研究,教育,人間力について学ばせて頂き,1983年に博士号を授かりました.1984年から福井大学に移り,鳥海勲先生の下で研究を始めました.私のわがままを容認して頂いた鳥海先生の懐の深さとアドバイスのおかげで,自由に研究ができました.JIM BEAMを愛したグレートボスでした.研究テーマも180度変えました.代表的なプロジェクトはアラブ首長国連邦での砂漠緑化と節水灌漑,バングラデシュでの太陽熱淡水化(進行中のJICAプロジェクト),冬期道路の滑り予測,地中熱によるロードヒーティング,農業用ハウスの環境予測,土壌の塩害対策などで,殆どが外国および県外で行いました.なお余談ですが,今冬の大雪は“広島でも雪の仕事をせよ”との天からのメッセージと,勝手に解釈しています.私が広島工業大学に帰って来られたのは次の3つのおかげ;良い恩師に巡り会えたこと,良い学生に巡り会えたこと,良い友達に巡り会えたこと,と思っています.ですから,この巻頭言は私の最高の宝物である7期の同輩,先輩,後輩がいなければ書けませんでした.同窓生の力は偉大です.広土会メンバーのおかげで仕事および私的な面で助けられたという同窓生は数多くいるのではないでしょうか?少なくとも私はその一人です.だからこそ後輩である在学生にも,同窓会がいかに掛け替えのないものになるかを伝えていく必要があります.広島工業大学の在校生は今後,職場で必要とされ国や地域の発展に貢献する使命があります.これは先輩なら誰もが後輩に願うことでしょう.広土会はこの願いを実現させる力を持っています.その具体的行動は別の機会に述べることにしますが,学科(教員)と広土会の連携を密にし,学科はより社会に目を向けた教育・研究を目指し,広土会はそれを支援することが根幹です.学科と同窓会の協働が改組した環境土木工学科に求められています.事実,絆の強い同窓会を持つ私立大学は着実に躍進しています.
 今後,広土会が卒業生だけでなく在校生にも欠くべからざる存在になれば,それが広島工業大学の特色となり大学発展の要になるはずです.そのために広土会会員の皆様,もっと力を貸して下さい.可愛い後輩のために,そして皆様各位のために.







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